「神の秘密」と称され、天の秘密の領域を司るラジエル。ラツィエル/Ratziel、ガリエル/Gallizul、サラクエル/Saraquel等の別称を持つ。ラグエルの別称:アクラシエル/Akrasielとも呼ばれ、その存在は同一とする説もある。ただし、ラジエルはカバリストからは肯定的に支持され、ラグエルの陰のある捉え方とは一線を隔している。シンボルは「秘密の書物」。

カバリストはラジエルを「秘密の領域と至高の神秘の天使」と定義する。彼は自らの知識を「セファー・ラジエル/Sefer Raziel」=「天使ラジエルの書」にまとめた。そこには世界の謎の全てと、魔術、そして奇跡すら実現させるすべが秘密の文字で記された。

ラジエルはこの全知の書を人類の祖アダムに与える。しかし、それに嫉妬した天使により書は盗まれ大海原へ棄てられる。その事実を知った神は「原始の海の王子」天使ラハブに捜索を命じ、アダムの元に返した。その後エノクが預言書を記すのに利用され、またノアがこの書の知識を利用し箱舟を作りあげる。さらにアブラハムの手に渡るが、エジプトで教えの一部を洩らしてしまう。これが東方世界が神技や魔術に通じていた由来であるらしい。そしてこの書物セファー・ラジエルはダヴィテから、その息子ソロモン王に引き継がれる。ソロモン王以降の所在は不明である。

ラジエルは「栄光の天使」の"確定していない三人"の有力な候補者であり、また「生命の樹の天使」として第二のセフィラー:「コクマ」を守護するという。

コクマ/Cochma:「知恵」(YHVHゼウォオト)
象徴:数字・2、色・灰色、宝石・トルコ石
神名はヨッド。男性原理の象徴で別名「至高の父」。「動性」の源泉。シェルのカイギティエルと対立。

ラジエル/Rasiel