「神の救い」という意味を持つアズラエル(アズリエル、アズラーイール、イズラーイール等とも呼ばれる)は、四面の顔を持つ死を司る天使として知られる。アズラエルは、ユダヤ・キリスト教のラファエルにあたる存在とも考えられる。

アズラエルは翼を二対(四枚)持ち、空を翔ける際は身体を百万枚のベールで包む。また、片手には全ての生者の名を記した書物を持ち、人が死ぬとそのノートからその死者の名前が消えるという。姿形は非常に恐ろしく、全身に無数の目、口、舌を持つ。無数とされる目は生者一人につき一つの割合であるといい、アズラエルの目が瞬く度に地球のどこかで命が失われるとされる。

また、アラーがアーダムを創造するにあたり、アズラエルが重要な任務を果たしたことから「死の天使」という困難な仕事に就いたと伝える伝承がある。アラーはまず、ミーカール、ジブリール、イスラフィールに、アーダムを創造する為の材料として「土」を集めるよう命じた。しかし地上に降り立った三人の天使は、大地の諫言を聞きいれてしまい、望まれた結果を果たせなかった。改めてアラーはアズラエルに同じ任を与えた。したたかなアズラエルは大地の諫言には耳を貸さず任務を果たし、アーダムが創造されたという。

アラーはこの事を鑑みて、職務に忠実なアズラエルに、時として非常に困難を伴う「肉体と霊魂を引き離す」という役割を与えたというのである。

アズラエル/Azrael