その名は「天使達の王」を意味し「天界と人間をつなぐ」事を任とする。メタトロンは極めて巨大な体躯を誇る熾天使の長であり、メトラトン/Metratton、ミトロン/Mittron、メタラオン/Metaraonとも呼ばれる。かつてはジャオエル/Jahoelと呼ばれた。

メタトロンは、カバラの根本経典セーフル・ハ・ゾハル(光輝の書)の信奉者からは、ミカエル、ガブリエルすら凌ぐ極めて強大な天使であり「神の代理人」とされている。タルムートでは「契約の天使」「人類の扶養者」「天国の宰相」「闇の支配者」等、72もの別称を持つ。そんなメタトロンの名には“御使い”を意味する「エル」がつかない。メタトロンの語源は「玉座にはべる者」という意で、ときに「小YHWH」という神の呼称すら抱くほどの偉大な存在なのだ。

数秘術でメタトロンの運命数は全能の神シャダイと同じ314であり、ここから同一の存在と考えられる。ユダヤの神秘主義者はエノクが再び昇天しメタトロンになったと考えている。グノーシス派ではサタンと同一視される。また、古代ペルシアのゾロアスター教(拝火教)とも関係が深い。双子の弟として「天国の歌」を司るサンダルフォン/Sandalphonが知られる。

「栄光の天使」の"確定していない三人"の有力候補。「生命の樹」第一セフィラー:「ケテル」の守護者。

ケテル/Kether:「王冠」(YHVHエロヒム)
象徴:数字・1、色・白、宝石・ダイヤモンド
神名はエヘイエー。思考や創造を司り、王の横顔で表される。人間の頭上にあって大宇宙との接点であり、創造の源泉、純粋存在、生命力の源泉という意味を持つ。また、第一〇のセフィラー:マルクトと通じ合っているともいわれる。シェルのタウミエルと対立。

メタトロン/Metatron