アムシャ・スプンタ第四位の女性の大天使。アールマティの名は「敬虔」「献身」を意味する。当時、献身とは女性の美徳と考えられていたから、献身という意をその名にもつアールマティが、如何に重要な女性神であったか窺い知れるだろう。

アールマティはアフラ・マズダの娘とされる。彼女は父神アフラ・マズダとの間にスラオシャ、ラシュヌ、ミスラ、アシの四神を生んだ。また、アールマティは見目麗しき美神として知られ、天界ではアフラ・マズダの左側に座するという。

また、アールマティは元来地母神として性質を有していたと考えられる。その性質は後に女天使アナーヒターやアシが受け持つこととなるのだが、彼女には新たに大地の守護神としての性質が与えられた。そして、アールマティは大地の支配者にして、大地そのものと考えられるようになる。このことから死体を大地に埋めること(土葬)は女神に対する大罪となった。大地とは女性そのもの、また豊穣と生産を意味するのだ。そこに死者を置くということは、大いなる不敬にあたるということなのだろう。

アールマティの「敬虔」に対抗する悪魔はタローマティ/Taromatiである。この女の大悪魔は「背教」を司る。ここでいう背教とは、まず、人々の信仰心をぐらつかせ、忠誠心を砕き、疑い騙しあう心を植え付ける。そして、嘘付き、強盗、詐欺師に売春婦などの不道徳な人間に仕立て上げること。この背徳を、女悪魔は至上の喜びとしているのである。

アールマティ/Armaiti