ラグエルの名は「神の友人」の意であり、他の天使達を監視・監督する役目を担う。ラグイル/Raguil、ラスイル/Rasuil、ルファエル/Rufael、アクラシエル/Akrasiel等、多くの異称を持つ天使でもある。アクラシエルとはラジエルの別の呼び名でもあり、一説によるとラグエルとラジエルは同一の存在だとも考えられている。ラグエルは、終末のラッパを吹く大任を受け持ち、また、エノクを天に運んだ天使のうちの一人ともされる。

エノクによると、ラグエルは天使アナフィエルの役目でもある"死せる者を天国に運ぶ"役も受け持つという。エノク書では彼は大地の天使とされる。また、「神は我が光」「地球の天使」「光の世界に復讐する」など天使としてはいささか過激な喩えをされることが多い。監視というある種の裏の役割とも言える性質が、陰の側面を強調しているとも考えられる。

また、ラグエルは中世の暗黒時代に法王庁の聖人暦から除籍されたことがある。かのウリエルも堕天使とされた、西暦745年のローマ教皇庁にて開かれた教会会議の席上、第91代教皇ザカリアスによって「聖人と偽って、地上を歩いた」と告発を受けたのだ。これは当時天使信仰が強まりすぎるのを恐れた教会が、その抑制を果たすために行ったとされる。後世ではこのラグエルの除籍処分は誤った解釈であったことを教会自身が認め改めており、ラグエルの天使としての名誉は無事回復している。

ラグエルは「栄光の天使」のうち、"確定していない三人"の有力な候補者である。

ラグエル/Raguel