最後の審判を司る天使。イスラフィールの体は全身が髪の毛、口、そして舌で覆われている。その身体は凄まじく巨大で、足は第七の大地の下に置いているが、頭の部分はアラーの王座の脚柱まで届くと伝えられる。ユダヤ・キリスト教でいえばウリエルに相当するという。

審判の日がくると、イスラフィールはエルサレムの聖なる岩の上に乗りトランペットの最後のひと吹きをする。イスラフィールの吹くトランペットの音は、墓の中で眠っている死者を呼び覚ます。彼が最後の審判の日に吹くトランペットは、内部が蜂の巣状になった動物の角である。そして、最後の審判が来るまでこの蜂の巣状の部分一つ一つに死者の魂がまどろんでいるといわれる。

伝説によると、この最後の審判を司る天使は、一日に六回地獄を見てはその光景のあまりの悲惨さに打ちひしがれ、大量に涙する。その涙の量は半端ではなく、ほおっておくと何と地上を洪水で満たしてしまう程である。アラーは地上にそのような災厄が降りかからぬように、イスラフィールの涙を止める努力しなくてはならない。

また、イスラフィールはイスラムの音楽の天使であり、全ての創造物の中で最も美しい顔をしている。イスラフィールは千の言語でアラーを賞賛し、アラーはイスラフィールの息吹で全能なる存在を賛美する聖歌隊の中に、何百何千という天使たちを生み出してゆくのである。

イスラフィール/Israfil