地獄の貴族 / Hell Elite

地獄の貴族達の多くは、前述の貶められし神々とは違い、「神の影」マラーク※に端を発しているという。彼らはかつて天使9階級のいずれかに属す由緒ある天使であった。

この罪と罰を背負う天使たちが地獄に堕ちた原因として考えられるのは、彼らの魂が驕りと傲慢に満ち、闇に沈む素養を元から秘めていたからであろう。マラークに属す者は天に在った時の地位が高い者ほど、地獄のより深部へと堕ちている。つまりは地獄において有力な地位になっていった事が見て取れるのだ。

ここでは、地獄の貴族の中でも際立った能力を秘める一群、「地獄の七君主」と呼称される強壮なる者達を取り挙げてみたい。彼ら七君主の天使たちはそれぞれが「地獄の宰相」や、「天空や始原の海」、果ては「宙空の月の支配者」などという、広大な範囲をその手中に治める力強き者達なのだ。


※マラーク/marach
  「神の使者」と訳される。本来は神と同一の存在でありつつも、
  それと同時に「神に仕える霊」或いは「神の声」でもあった。
  だが、時代が進むにつれ彼らは神の「悪」の側面を担うようになり、
  それは「サタンどもと等しい存在に堕ちた」ことを意味している。
  また、マラークという名称は、旧約聖書のギリシャ語訳である
  七十人訳聖書において「使者」を表すアンゲロス/angerosと訳される。
  これが転じてエンジェルという言葉になったのだといわれる。